2007年02月22日

ありがとうルーシー・盲導犬と築いた絆/1(毎日新聞)

2月20日の毎日新聞山形版にて、「ありがとうルーシー・盲導犬と築いた絆」という記事が掲載されています。連載記事の第一回「引退」という題で、盲導犬と視覚障害者との別れの話でした。
長い間一緒に歩いてきた犬と人のお互いにとって、その別れはつらいものです。

 ◆引退
 ◇「定年」の時期迎える
 「もう何も言えない」。米沢市下新田で鍼灸(しんきゅう)院を営む視覚障害者、今野善一さん(55)は、9年3カ月にわたって連れ添ってきた盲導犬・ルーシーを自宅の玄関先で見送った後、こう言ったきり押し黙ってしまった。いつもは明るい性格の今野さんだったが、胸にこみ上げてくるものを抑え切れず、思わずハンカチで目頭を押さえた。
 今野さんを導いてきたルーシーが引退を迎えた今月4日、市内は前日の晴天とは打って変わり、朝から吹雪だった。今野さんは、ルーシーを引き取ることになった同市御廟の高校教頭、岩井尚雄さん(60)、美子さん(55)夫婦が迎えに来るのを待っていた。その時の今野さんは「まだピンとこない」と、ルーシーとの別れを実感できないでいた。
 約束の午前10時、岩井さん夫婦が到着。「悲しい顔をしていないか」と話しかける尚雄さんに、ルーシーはいつものように人懐っこく尚雄さんの顔をなめた。今野さんはルーシーの引退を特集したテレビ番組の録画を見せ、「ルーシーは頭の切り替えが早いから、1週間もすれば次の『主人』だと分かるはず」と岩井さんを気遣ってみせた。その一方で、刻一刻と迫る別れ。今野さんの顔は次第に寂しさに包まれていった。
 そして、別れの時が来た。「お父さん、お母さん(今野さん夫婦)とバイバイだな」。尚雄さんが口火を切った。「家族の一員として、ルーシーが長生きするよう精いっぱい世話をします」と言って立ち上がると、ルーシーを連れて出た。外は雪が小降りになっていた。ルーシーの体力の衰えを聞かされていた尚雄さんは、自分で作った高さ約30センチの木製の台を用意し、ルーシーを車の後部座席に乗せた。
 クラクションを鳴らして立ち去る岩井さん夫婦。それを玄関先で見送る今野さんの家族。「ルーシー、本当にありがとう」。今野さんは心の中で繰り返していた。
 車中のルーシーは、いつもよりおとなしく、じっとしたままだった。美子さんのひざにあごを乗せ、一度も後ろを振り返ることはなかった。これが初めての別れではないルーシー。「もうお父さんの所には帰れない」。ルーシーの大きな背中は、そう言っているようだった。
 今野さんは35歳のころに難病である網膜色素変性症を患って視力が低下、15年前に失明した。41歳で県立盲学校に入学し、鍼灸・マッサージ師の資格を取得。自宅で開業するとともに、南陽市の赤湯温泉の旅館でマッサージルームを開設した。ルーシーとは97年11月に出会い、一緒に列車通勤をした。ルーシーはラブラドルレトリバーの雌で、現在11歳。人間でいえば、70代後半に相当し、「定年」の時期を迎えていた。愛と絆に支えられた盲導犬と人との軌跡を追った。=つづく


別れは、人も悲しいし、犬も悲しいに違いありません。

多くの視覚障害者にとって、自分が障害者でなければずっと犬といたいのに、という思いもあることでしょう。

でも、障害者と盲導犬の関係だからこそ出会うことができ、固い絆を築くことが出来たのも、事実なのです。

現在入手できる盲導犬関連の書籍一覧


推薦図書:『最後のパートナー 盲導犬を引退した犬たち』(幻冬舎文庫)



posted by Mana at 22:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 動物ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。